葬儀は人生の中で、そう多くあるものではありません。
そのため葬儀のマナーについて、あまり把握できていない人も多いかと思います。
宗教によって違いはあるものの、葬儀には守らなければいけない基本的なマナーがあります。
この記事では、最低限知っておくべき葬儀のマナーについて解説をしているので、ご参考いただけたらと思います。
目次
葬式の基本的な流れを理解する
葬式といっても、「通夜」「告別式」「葬式」というように流れが分かれております。
まずはそれぞれ、どのような目的なのか理解しておきましょう。
通夜の基礎知識
通夜は「告別式」の前夜に行われるもので、故人の親族や親しい友人などが集まり、別れを惜しむため夜通し灯りを消さずにご遺体を見守るための儀式です。
宗教によって違いがあり、時代と共に少しずつ変わりつつありますが、本来の意味をきちんと理解しておきましょう。
告別式の基礎知識
告別式は葬式の直後に行われることが一般的で、故人と最期のお別れをするための式典です。
祈祷や献花などが告別式にあたり、元々は葬式とは別物ですが、今では告別式も含めて葬式を行うことも増えています。
葬儀は宗教によって特色が分かれますが、告別式は宗教などにあまりとらわれることはなく、一般会葬者も含めて故人とのお別れをするものです。
葬式の基礎知識
葬式は故人の冥福を祈るための儀式です。
宗教・宗派によって違いがあり、お焼香の作法にも多少の違いがあります。
そのため儀式の作法については、もし不安であればお寺や宗教家に直接聞いたり、葬儀社に確認したりするといいでしょう。
服装のマナーについて
葬儀に参列するには、きちんとマナーを守って参列しなければいけません。
また、参列する立場によっても服装のマナーは異なります。
故人を偲ぶため、また急な葬儀の参列にも対応できるため、しっかりと葬儀の服装マナーを理解しておきましょう。
喪主の服装について
喪主としての立場で葬儀を行う場合、気をつけておきたいのが喪服のランクについてです。
喪服にはランクが分かれており、正喪服は喪主をはじめとした三親等までの遺族が着用するものです。
男性の場合、和装であれば紋付羽織袴を着用し、洋装であればモーニングコートを着用します。
女性の場合、和装であれば黒無地の紋付に袋帯か名古屋帯を着用します。
洋装であれば黒無地のワンピースやアンサンブルを着用します。
参列者の服装について
喪主や遺族以外の参列者は、準喪服を着用します。
喪主ではないのに、喪主と同じような服装をすることはマナー違反となるため注意しましょう。
男性であれば、慶弔どちらにも使える礼服用のブラックスーツを着用します。
スーツには「シングル」と「ダブル」がありますが、どちらでも問題はありません。
ネクタイ、靴下、靴なども全て黒のものを着用します。
女性であれば黒のワンピースやスーツのように、フォーマルな服装で参列をしましょう。
身につけてはいけないもの
服装は黒色のものを着用しますが、葬儀では身につけてはいけないものがあります。
マナー違反にならないためにも、葬儀で身につけてはいけないものを覚えておきましょう。
例えば、冬の寒い時期に参列する場合はマフラーやコートなどの防寒着を着用すると思います。
色は黒のものを用意するか、ない場合はグレーなどの派手ではない色を選びましょう。
また、毛皮やフェイクファーなどは殺生を連想させるため身につけてはいけません。
アクセサリーにも注意が必要で、葬儀の場にはふさわしくありません。
しかし涙の象徴とされている真珠のネックレスは失礼に当たらないため、着用して問題ありません。
ただし注意点があり、二連のものは「重なる」という意味にもなるため必ず一連のものを選びましょう。
女性の場合、派手なメイクやネイルにも注意しましょう。
肌の露出は控え、できるだけナチュラルメイクで参列をします。
お焼香のマナーについて
葬儀では、お焼香をする場面が何度かあります。
あまり参列をしたことがない人にとっては、前の人を真似てやり方を確認することもあるでしょう。
しかし、いざという時に戸惑わないためにも、お焼香の作法をきちんと理解しておくことが大切です。
基本的なマナーとして、お焼香は喪主から始まり遺族、親族の順で行われます。
自分の順番が来たら、立ち上がり遺族に一礼をし、祭壇の前まで歩いて行きます。
ご本尊の前で一礼をした後、お香を親指、人差し指、中指でつまみます。
宗教によって回数が異なるため、細かい作法は事前に確認しておくといいでしょう。
香典のマナーについて
香典は故人にお供えするお金で、葬儀代などの費用がかかるため遺族を助ける意味合いもあります。
香典を包む際のマナーについても、確認しておきましょう。
香典の金額
香典で包む金額は、故人との関係性や自身の年齢によって異なります。
親等が近いほど包む金額の相場は上がり、故人が親であれば5〜10万円、兄妹姉妹であれば3〜5万円が相場となります。
自分の年齢が上がるにつれて、この相場が上がると考えておきましょう。
友人の場合では5,000円〜1万円、上司や同僚など仕事で関わる人であれば5,000円が一般的な相場となります。
香典を包む際は、「死」や「苦」を連想する「四」や「九」の数字が入る金額を包まないことに注意しましょう。
また、香典には新札を使わないのが一般的なマナーです。
香典を渡すタイミング
香典は、「通夜」と「葬式」に参列するタイミングで渡します。
もし両方参列する場合は、先に行われる通夜に持参しておきましょう。
しかし、もし通夜が急なため香典を用意できなかった場合、葬儀のタイミングで渡しても問題ありません。
斎場で葬儀が行われる場合は受付があることが多く、受付の人にお悔やみの一言を申し上げて香典を渡します。
もし喪主や遺族の方に直接渡すのであれば、相手の前で袱紗を開いて台などの上に置いてから渡すようにしましょう。
どちらも、文字が相手から読める向きで渡すのがマナーとなります。
葬儀のマナーに注意する
葬儀のマナーには時代の変化によって変わったものがありますが、基本となるマナーはしっかりと残っています。
しかし、理由に妥当性のない葬儀のマナーが、一部のマナー講師によって生み出されていることをご存知だったでしょうか。
一例として、香典袋に入れるお札について。
この記事でもご紹介した通り、お札は新札ではない方が一般的なマナーとされています。
しかし一部のマナー講師が、「誰が触ったかわからないようなお札は清潔ではない。
葬儀もできれば診察が望ましい」との理由で、香典で包むお金をできれば新札が望ましいと改変しているのです。
また、コロナ禍において「マスクの色」についても偏った内容のマナーが生み出されています。
『葬儀でのマスクは黒色を着用するのが良い』 というような内容で、これは「葬祭法事用布マスク」のような名目でおしゃれな黒マスクを売るための事実とは異なったマナーが話題となっています。
葬式に関するマナーや作法など、わからないことがあれば宗教家や葬儀社に直接尋ねてみると、安心できるのではないでしょうか。